Reading Baton

スタックしてたトラックバックを新着順に処理してみよう という訳でみちアキさんから頂いたReading Batonへと回答してみたいかと。

お気に入りについて云々よりも、どんな本が苦手と言うか気に入らないと言うかに特化してしまった気もします。

■お気に入りのテキストサイト(またはBlog)

サイト単位といわれると怪しいですが、moyu at hime.org(改装前版はこちら)の文章が時折秀逸だと思う。お勧めは「階差機関」…ですが、今一つ紹介した諸氏には共感いただけなかった。

後は…純粋にテキストサイトかといわれると非常に困るサイトが多いので割愛。

■今読んでいる本

最近文章書いたり消したりをやってるので、どっちかと言うと文章への難癖が多いかも知れず。

先日読了した本がこちら。

ゲーテ「ファウスト」〈第1部〉

ゲーテ「ファウスト」〈第1部〉

詩の詩としての訳にこだわったと触れ込みのあった片岡訳『ファウスト』。

正直詩として訳す際のセンスは割と頂けない。何で庶民諸氏の発言が皆汚い関西弁なのか?(「まんがな」なんて生粋の関西人でも滅多に使わないですよ…と言うかそんな言い回しされると関西系下町臭い匂いが漂うので止めて欲しかった)とか、何で七五調にすらなってない半端なぶつ切り詩形式なのか?(説明が非常に難しい。口語詩を五言で切るのは読みづらいので勘弁願いたかった)とか、韻を踏んでるように見せかけて大して踏んでないじゃないか?とか色々と突っ込みたいところは山々だった。

翻って注釈に於いては訳者の見識の深さを示すものがあり、その辺りはなるほどと読んでいた。まぁ、暇になったら他の訳者の手によるものも見ておくかな…と、検討中。


続いて現在読んでいる本

意味の支配―人文科学の人間化

意味の支配―人文科学の人間化

論語とか仏教説話とかは昔片っ端から読んだので、今度はポスト構造主義だ と思ってタイトルだけで選んで読み始めた本。難解な言い回し(まぁ、本当に意味的に難解なものはそんなにないのですが)が多いので読むのに梃子摺ってて、現在消化率半分くらいです。

語学能力と哲学的思考能力と文章表現能力と論証技術は同居するのが難しい証左なのかもしれない。翻訳できて・哲学的問題として解ったとしても平易な日本語にするのって難しいんだろうなぁ…と。

内容面では、少しはポスト構造主義の議論傾向が理解できたので今のところはよしとしたい。読んでて思ったことは、哲学はずいぶん前から哲学学になってたり哲学者学になってたんだなぁ…と言った事だろうか。

最近の創作物は過去の創作物の再構成ばかりでいかん とかそんな事を言ってた御仁が居たが、分野の制限があるとは言え哲学も再構成・反証で成り立っている模様。それを考えると創作物なんていつかは再構成になったり再構成の再構成になっていくものなのかもしれないな…と。

ま、再構成の方が既存の資産を使えたり新概念の導入コストが低かったりと製作する側も読む側も気楽ではあるのも、再構成した創作物(二次創作とかパロディとか、「どこかで見たような」作品とかのこと)が氾濫する原因の一端なのかも…。

■好きな作家

真面目に回答すると、純文だと太宰 治やら夏目 漱石やら森 鴎外あたり。

不真面目に回答すると、大昔は川上 稔とか読んでたなぁ…非常に懐かしい。「都市シリーズ」は何故か全て初版で持ってるくらいのお気に入りだったなぁ…懐かしい。

逆に、大江 健三郎と山田 詠美の作品を2ページほど読んでこりゃダメだと思った記憶が。戦後の所謂私小説系の文章は大っ嫌いです。インテリぶってるくせに何だあの中身のなさは と。所謂セカイ系な作品も場合によっては同じ拒絶反応で拒否してしまうようです。ブギーポップは第一巻を5ページ読んでそのまま閉じて以来省みてません。

■思い入れのある本

基本的に本は一度読んでから再び読むまでのスパンが長いのでよく読む本については割愛。

「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則

「複雑系」を超えて―システムを永久進化させる9つの法則

私の中ではトップクラスの当たり。

複雑系に関するトピックを扱った事例集で、複雑系創発システムに関して非常に興味深い記述がなされている。結構既存の科学的な思考の常識とは一線を画したアプローチが多いので、トンデモといわれてしまう危険性も無きにしも非ずですが。科学読み物系が好きな人は興味深く読めると思う。

ツァラトゥストラ (中公文庫)

ツァラトゥストラ (中公文庫)

思想面っぽいものを考えてみる契機となった本。

当時は疑念と共に感心しながら、今なら苦笑と共に批判的に読める本だと思う。

超人思想はそもそも出発点がそもそもアンチである時点で、決別対象に何処まで行っても囚われてるだろ…と言ったところですか。

■手放せない本

常に持ち歩いている と言う意味なら、そんな本はありません。大体読んだら放置です。

売ったり譲ったりできない と言う意味なら、手元にある本殆ど全部でしょうか(教科書類を除く)。基本的に売却するような本は買わないので。