自己との出会い

私が自分の意識を自覚したのは、確か5歳の頃でした。

その頃の私は独り言を吐く癖が酷く、親から「もっと静かにしなさい」だとか「思ってることを何でも垂れ流すもんじゃありません」だとかよく叱られたものでした*1

余りに煩く叱られるので、気づけば独り言を頭の中で呟くようになっていました。何だか良く判らないけれど、口も使わずに頭の中で呟くことが出来るらしいことに気付いたのです。

そんなある日、ふと「そもそもこの呟きって誰が誰に向かって呟いてるんだろう?」と 聡いんだかネジが抜けてるんだか判らない疑問に思い足りました。

で、その時は「自分が自分に向かって呟いているのだ」という、ある意味トートロジーな回答を出して満足していたようです。確かその時は自宅近くの公園だかを一人で散歩していたのですが、その回答を出してから数歩歩いてふと気付いたのです。

ああ、どういう形かは知らないけれど確かに私は私を持っていて、私と言うのはそんな風に存在してるんだ と。

今となっては「そんな風」がどんな風であったか思い出すのは困難なのですが、それに気付いてよくわからない興奮と共に一人公園を走り回っていたのを今でも覚えています*2

*1:残念なことに、癖の完全な排除には失敗している

*2:当時の知的体力から外挿すると今は凄く知的な人物になっていてもおかしくないのだが、残念なことにそうならなかったようである