いろいろ間違ってる古典

まめまめしきものは、まさなかりなむ。ゆかしくし給ふなるものを奉らむ。

等と言ったのは更級日記だったか。

更級日記って何? って人はWikipediaの更級日記の項を参照のこと。引用文は筆者が伯母から源氏物語を与えられたときの伯母の言であり、「実用的なものなんてつまらないでしょう。面白そうなものをあげましょう」とかそんな意味だったはず。まぁ、なんつーか教養に焦がれる文学少女とキャプション振れば崇高そうにも見えるが、実際のところ姪に甘い伯母と高価なおもちゃを欲しがる小娘と考えると案外何処にでもありそうな感じだったり。

当世でリメイクしたら単なる腐女子日記になるんじゃなかろうかなーとも。

ああ、話が大幅に逸れた。こんなことなら夏炉冬扇でも喩えに出すんだった…。後者のキャプションで話を進めるつもりが変なキャプション振ってしまった所為で脱線もよいところ。ついでなので大幅脱線することにして、古典の話でも。

古典は文体が独特なので読むの面倒ですが*1、案外面白いものです。高尚そうに見えますし、実際高尚なものとして扱われているのですが何だかんだで現在に通じる物があったりおもしろかったりするもので。

という訳で、過去に読んだ中で内容の覚えのある古典の怪しいキャプションつき紹介。日本の古典に限りませんが。…うーん、有名どころしかないや…。

無駄に長いので気になる人だけ続きをどうぞ。


源氏物語 … 言ってしまえば少女漫画。どろどろの三角関係 とか、政権闘争 とかが大好きな人向け*2。結構エロい。無常観とか、仏教に救いを求めたりしてるあたりとかが高尚とか何とか言う人も居るけれど、あれは当時仏教がはやってたからってだけなのです。多分。


枕草子 … ひたすら女御の筆者が后を崇めるお話。「この御方はこんなに教養があって歌もできて 素晴らしい方なんですっ!」と、ひたすら持ち上げる。いっそ健気である。ついでに素晴らしい后様に仕えてる自分の教養も持ち上げてるのはご愛嬌。紫式部清少納言は同時代ってこともあってよく引き合いに出されるけれど、エンターテイメントに徹してる源氏物語とか書いてる紫式部に比べて、清少納言のほうが后様と自分に絞ってる点も含めて近視眼的な気がする感じだろうか。一途 と言ってしまえば心証がいいのだろうか。


徒然草/方丈記 … いい年したおじさんたちの手記。随筆形式 だが、今ならBlog本みたいな感じの体裁かもしれない。普通に文章巧くて普通に話が深い。できれば現代語訳版でないものを気合で読んでください*3。案外所々見てると、普通のおやじだったりもする。


竹取物語 … 日本に於ける元祖ファンタジー…だと思う。宇宙から漂流してきた娘が、何だかんだあって宇宙に帰るお話…と言うとファンタジー小説ライトノベルっぽい。てか、ライトノベル的な要素*4を打ち込んだら普通にライトノベルだよなー とか。考証要素が足りないのはご愛嬌だけれど。


私小説全般 … 要するにポエム系な日記。取り敢えず、私は苦手。「俺ってこんなにインテリ?」みたいなにおいが鼻につく物も多い。そんな奴友達にしたくないです。あと、古典じゃねーだろ って突っ込みはなしの方向で。


ギリシャ神話とか … 神様他愛無さすぎ。取り敢えず真面目に読むと「こんなの神様?」とげんなりするかもしれないくらい人間くさい。神の神格化・神聖化は後世のものなんだなぁ とかどうでもいいことに目がいく。


千夜一夜物語 … 実際は物語集だけれど。これはエロい。一応聡明な娘が暴虐な皇帝に処刑されるのをかわすために寝物語をしていく と言う筋書きの筈なのに、若い娘が語る内容じゃないだろ って話が延々続く。話の内容は私の口から言うのも憚られるので、誰かがんばって本探してください。


君主論 … 政治学の本だけれど、たとえ話がえぐい。生臭い。「はねっかえりで問題の多い部下をどう処分するか」とか「仕事できるけど問題の多いやつを使うにはどうするか」とか、結構現実的な話をしてるので管理職やってるビジネスマンにもお勧め。まぁ、現代では現実的でない方策も沢山載っているけれど、それを現代風にアレンジできる力量があるかは貴方次第ってことで。正直「できるビジネスマンの○○の法則」とか読むよりこれとか孫子とか読む方が良いんじゃないの? と思ってみたり。普通に権謀術数が好きな人にもどうぞ。


ガリバー旅行記 … ファンタジーに見せかけて実はすごい風刺。子供向け文学とかに何で入ってるのかいまだに疑問だったりする。問題提起も結構深いと思う。問題提起の部分が気になる人は、Wikipediaで検索してみるといいかもしれない。


レ・ミゼラブル … 「嗚呼無情」ってタイトルのほうが有名かもしれない。正しく訳すと「惨めな人々」。良くも悪くも教育現場が好みそうな良いお話だったりする。フランス革命の前後なので、どうしてもその手の思想が入ってたりするが。そう考えると、学校での道徳教育ってあの時代のものから進んでないことになるのだけれど…。普通に感動ものだと思います。あ、あと岩窟王も普通に良いお話です。訳と構成によっては大人が読めるものだと思います。


変身 … 朝起きたら巨大な虫になっていた! で始まる理不尽ストーリー。最近のお話みたいに下手に救いもなく、主人公は虫としての生を謳歌するのでした カサカサコソコソ めでたしめでたし で終わる。この理不尽さがたまらない貴方に。


ファウスト … 実は異世界紀行なんじゃなかろうかと思う。人生曲がり角ってか終盤に差し掛かった老人を悪魔が連れまわしてあれやこれやとする。世界の深淵とか何か色々あるようだけれど、詰め込みすぎて失敗している気がしなくもない。取り敢えず、いつぞや読んだ訳は失敗作だと断言しておきたい。森鴎外の訳がいいかもしれない。

*1:てか、そもそも言語の壁問題があるわけですが

*2:まぁ、好きな人はもう読んでる気がしないでもないが。

*3:この辺は根本的に洋画の吹き替え見るより字幕見ようよ というのと変わらん気はする。現代語訳版は、注釈の当たり外れも大きいので

*4:少年とか、陰謀とか